ともに手を取り合い、持続可能な未来へ。

Growing Together(グローイング トゥゲザー)とは、エルサルバドルという国における持続可能なコーヒー生産に向けた取り組みです。コーヒーを生産していくためには経済的にも気候変動などの環境面でも課題が多く、このままでは産業として成り立たなくなってしまうのではないか、という危機感。また、実際に今まで何世代にもわたって美味しいコーヒーを作り上げてきた伝統と歴史を後世へとつないでいきたいという想いも相まって、エルサルバドルのコーヒー生産者であるエミリオ氏はコーヒー産業を未来へ残すための取り組みとしてGrowing Togetherを始めました。
特にコーヒー生産に課題の多い中小規模のコーヒー生産者を中心に、環境・コミュニティ・持続的可能性の3つに焦点を当てた様々な取組みを通じて、将来の長きにわたってコーヒーを楽しめる世界へと目を向けています。ここではGrowing Togetherの取り組み内容やその意義、その取り組みがもたらす成果などを紹介します。

コーヒー豆という農産物。
そのつくり手である
生産者の課題とは。

世界中の多くの人に愛されているコーヒー。普段当たり前のように楽しめるコーヒーですが、そもそもどのように作られているかご存知でしょうか。
コーヒー豆はコーヒーノキという植物から取り出される種子(コーヒーチェリー)で、それを収穫するには苗を植えてから平均して3~4年もかかります。そもそもコーヒー栽培を始めるために初期投資が必要ですが、栽培を始めてから3~4年間は販売ができないため資金の回収ができない状態が続きます。また、地球温暖化による気候変動や、病害虫による影響も重なることもあり、収穫量が不安定となる可能性があります。
日々品質の維持・管理を重ね、手塩をかけて作り上げられる農作物としてのコーヒー豆ですが、どのように販売していくか、その販売方法や販売先を開拓するのにも多くのハードルが立ちはだかっています。
結果として生産コストを回収できずに経済的な面で続けていくことが困難になる生産者がいるなど様々な課題を抱えています。

品質の向上から商業化まで。
コーヒー生産者との伴走から自立へのサポート

Growing Togetherではコーヒー生産者が、栽培を始めてから実際にコーヒー豆として市場へ出荷するまでに必要なサポートプログラムが組まれています。コーヒー豆の品質が良ければそれに応じて取引価格も高くなるため、生産者にとって品質向上は重要なテーマの一つですが、Growing Togetherでは中小生産者に向けて、コーヒー栽培の管理方法、コーヒーの木の剪定、病害虫への対策、土壌処理や土地の施肥、選別収穫など様々な技術支援をワークショップを通じて提供し、農園での実践もサポートしています。
そのように生産者が丹精を込めて育て上げ、収穫されたコーヒー豆ですが、次はそれを実際に市場へ出荷することとなります。中小の生産者は特にですがその商業化のルートややり方をそもそも持ち合わせていなかったり、市場へ出荷した際に品質に見合わないような低価格で取引されてしまうリスクなどを抱えています。
そこで、Growing Togetherでは、中小生産者のコーヒー豆を一括して適正な価格で買い上げる仕組みを設けています。それにより生産者たちは、市場の変動に左右されず安定した収入を得られることにつながります。ただ、それだけではなく、より品質の高いものであればそれに応じた価格を設定して買い取るオプションを提供したり、コーヒー栽培や品質のさらなる改善に向けて取り組む場合には、必要となる備品や設備を購入するためのサポートも包括的に設けています。

自然と環境。

コーヒーは農作物のひとつ。豊かな自然と環境の維持がGrowing Togetherにおいて最優先事項です。天然の資源を大切に取り扱うことで、森林や生物の多様性の保護などを尊重していることを示すレインフォレストアライアンスを農園生産者へ認証しています。
また、絶滅危惧種が多数生息している私有自然保護区での天然水の湧き水の管理がなされ、Growing Togetherを通じて水汲み施設が設けられたことにより、250世帯、2,000人もの人々が飲み水へアクセスができるようになりました。

家族、地域社会、
コミュニティとの
つながり。

コーヒー生産者のみならず、その家族、関わる地域社会やコミュニティにもGrowing Togetherは取り組みを広げ、継続的にコーヒーが生産できる環境づくりにも注力しています。
国の保健省と連携した健康診断の実施をはじめ、地域の学校の生徒や先生たち向けの眼科検診や必要な眼鏡の提供、学校への本の寄贈など、様々な観点からコーヒー生産者を取り巻くすべての人々と手を携えながら持続可能性を模索しています。

未来へ向けて。
我々ができること。

Growing Togetherの取り組みの結果、地域社会やコミュニティへの影響はもちろん、コーヒー豆の品質を示すスコアは改善を続け、収穫量も年々増加傾向となるなど、コーヒー生産者の安定した経済面でも着実に結果を残しています。
生産者とともに美味しいコーヒーを消費者のもとへお届けすることを企業理念に掲げるハニー珈琲として、将来にわたりコーヒーを楽しめる世界に貢献するためにも、持続可能なGrowing Togetherの取り組みと一緒にできることを進めていきたいと想っています。

一つは、Growing Togetherに取り組むエルサルバドルの生産者からコーヒー豆を継続的に仕入れること。そうすることで生産者が今後もより良い品質のコーヒー生産を続けることに少しでも前向きになってもらいたいと願っています。
もう一つは、Growing Togetherから仕入れたコーヒー豆を、その取り組み意義とコーヒー生産者の想いを消費者の方へもお届けし、一緒にコーヒー生産の未来への環境づくりへ参加できる仕組みをつくり、選択肢の一つとしてご提案していくこと。

具体的には、Growing Togetherのコーヒー豆の製品(コーヒー豆やコーヒーバッグ、テイクアウトのドリンクなど)を販売した売上の一部をGrowing Together(コーヒー生産者)へ寄付という形で還元します。それによって消費者の方にも、ご自身が選んだその1杯がエルサルバドルという国のコーヒー生産者への未来へつながっていく、ということを少しでも感じて頂けたらと考えています。

ハニー珈琲はスペシャルティコーヒー専門店として長い間、生産者とともに品質の良いコーヒー豆をつくりあげることに情熱をもって取り組んできました。コーヒー生産者と築き上げた信頼関係のもと、Direct Trade(直接取引)で高品質のコーヒー豆を仕入れています。その品質に見合った価格での取引となるため、生産者が経済的にも継続してコーヒー生産に取り組めるようになり、結果として良質なコーヒー豆を消費者のもとへお届けできることにもつながると信じています。そうした長年の取り組みに重ねて、Growing Togetherという新たな取り組みにもチャレンジしていきます。

未来に向けて。
コーヒーをいつまでも楽しむことのできる社会へ、我々のできることは小さなことかもしれません。ただ、少しづつその取り組みに関心を向けていただけるようハニー珈琲としては想いをもって進んでいきたいと考えています。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。